【2021年版】子供が親を扶養に入れることはできるのか?税制上の扶養・健康保険上の扶養は違う!

別居の親は扶養に入れられる?「2種類の扶養」を知る

サラリーマンの節税対策で、「別居の親を扶養に入れる」と税制上・健康保険上の優遇が受けられるという話がある。

本当にそんなことが可能なのだろうか?

 

 

結論から言うと「できる」のだが、条件・メリット・デメリットを知らないと逆に損をする可能性さえある。

まずは「2種類の扶養」を知って確実に理解をすることが必要。

 

その上で、自身に照らし合わせ「得なのか?」「損なのか?」を考えていきたい。

FP業務で相談を受ける中で、結構問い合わせのある項目である。

 

扶養に入れるための条件は?『健康保険上の扶養』『税制上の扶養』で異なる!

まず抑えておきたいのは、2つの「扶養」があるということ。

  1. 健康保険上の扶養
  2. 税制上の扶養

 

扶養には2種類ある ①健康保険上の扶養 ②税制上の扶養

 

それぞれの要件について、確認していきたい。

 

①健康保険上の扶養

  • 別居の親(60歳以上)の年収が180万円未満であること
  • 別居の親の収入が子からの仕送り額より少ないこと

簡単にいうと、上記条件を満たせば別居していても「健康保険上の扶養」は可能である。

 

②税制上の扶養

  • 別居の親の年間合計所得金額が38万円以下(給与のみなら103万円以下※給与所得控除65万
  • 子と生計を一にしている

 

親に年金収入がある場合、どういう考え方になるの?
年齢によって扱いが変わるから、気を付けてほしい!

65歳未満の場合

年金収入が108万円以下であれば、扶養控除が適用される。

☑年金収入が130万円未満の場合、公的年金等控除額は70万円。

108万円ー70万円=38万円

 

65歳以上の場合

年金収入が158万円以下であれば、扶養控除が適用される。

☑年金収入が330万円未満の場合、公的年金等控除額は120万円。

158万円ー120万円=38万円

 

「税制上の扶養」は上記条件を満たせば可能となる。

仕送り金額等に明確な規定はないが、生活費の送金をしているなどの事実が必要。

 

まずはこの2つの扶養の存在を抑えて、次に進みたい。

 

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扶養のメリットは?『健康保険上の扶養』『税制上の扶養』でそれぞれ抑える

扶養に入れる、入れられないの基準は分かったが、肝心のメリットはどうなのか?

具体的な事例を交えて見ていきたい。

 

 

①健康保険上の扶養

  • 親の健康保険料が無料になる

※親が75歳以上の場合は「後期高齢者制度」に移行されるため、扶養に入れることはできない。

 

②税制上の扶養

  • 子(納税者)の所得税と住民税を節税することができる

 

所得税・住民税の節税は、年齢による異なる。

所得税控除住民税控除
親が70歳未満38万円33万円
親が70歳以上48万円(別居) 58万円(同居)38万円(別居) 45万円(同居)

 

【70歳別居の親を扶養に入れたケースの節税額:所得税20%の場合】

  • 所得税:48万円×20%=96,000円
  • 住民税:38万円×10%=38,000円

計134,000円の節税となる(厳密にいうと復興所得税2.1%分の数千円も)

これは大きい。メリットだけ見ると、「絶対扶養に入れたほうがいい!」となりそうだが…

 

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扶養に入れるデメリットは?意外な落とし穴『高額療養費の存在』

メリットだけを見て判断してはいけない。

意外な落とし穴=「高額療養費制度」の存在である。

 

 

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高額療養費は、負担限度額以上は支払わなくて良いというもの。

これは「扶養者の収入」によって限度額が決まる。

 

親が高額の医療にかかった場合、

収入の少ない親が被保険者の方が、限度額が低く、負担を抑えることができることが多い。

 

高額医療にかかった場合、扶養者の収入で限度額が決まる為、扶養に入れると負担が大きくなる可能性あり!

こういったデメリットを踏まえ、扶養に入れるか否かを慎重に検討した方が良い。

 

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子が親を扶養に入れるときは、メリット・デメリットを見極めて判断しよう

2種類の扶養の違いを知り、適切な判断を!

おおまかに言うと説明した通りだが、メリット・デメリットを踏まえての判断が重要

 

結論から言うと、「税制上の扶養」は大きなデメリットは見当たらない。

一方、「健康保険上の扶養」は、デメリットが大きくなる可能性がある。

 

 

一口に親を扶養に入れるといわれることが多いが、

  • 健康保険上の扶養
  • 税制上の扶養

この2つの扶養は別モノなので、分けて考えることが大事。

 

この違いを認識した上で、「親を扶養に入れる」ことを検討し、その効果を見極め判断していきたい。

うまく制度を使うことができれば親子で得をすることができる。

 

※個々の判断は自己責任でお願いいたします

 

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