教育格差=経済格差 いったい学費はいくらかければいいのか?
日本の教育は家計負担(私費負担)が多い:「特に幼稚園と大学の負担が重い」
日本において子どもの教育投資は家計負担が非常に大きい。
OECDのデータによるとGDPのうち幼児教育への支出は0.2%と加盟国平均の1/3程度、
そして高等教育(大学など)の私費負担は52%と超高水準であり、加盟国平均の倍以上となっている。
出典:文部科学省資料
私費負担が大きいということは、親の経済力がそのまま教育機会に直結しやすいということ。
これは紛れもない事実である。
幼稚園~大学卒業までにかかる教育費は「オール私立だと2,200万円超!」
気になる教育費だが、幼稚園~大学までいったい総額いくらかかるのだろうか?
大学卒業までにかかる教育費
※幼稚園~高等学校:学校教育費、学校給食費及び学校外活動費の合計
大学:授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費の合計(学費)
出典:文部科学省資料より
選ぶ選択肢で大きく費用に差が出るのが分かる。
私立一貫校の方が大学受験には有利
私立では、「小中高一貫」「中高一貫」「大学内部進学」など、
そのままエスカレーター式に進学ができる形態が多い。
例えば、大学受験ということを考えると、「小中高一貫」「中高一貫」だと大学受験を見据えた学習が安定的にできる。
そして同じような学力レベルの中で学習できるのが大きい。
一方、公立の場合
- 公立中学→公立高校受験
- 公立高校→大学受験
特に①において、公立中学の場合、
- 学力にバラつきのある環境で学習をしなければならない
- 公立高校受験は内申が重要なため、「内申を取るための学習」も必要
公立高校に進学しても高校の後半になって、猛勉強しても十分な準備ができず大学受験を迎えるケースは多い。
公立の偏差値が高い高校に入っても、意外と偏差値の高い大学に入りにくいということがある。
単純に言ってしまえば、「大学受験は私立一貫校の方が有利」と言える。
意外と偏差値の高くない学校でも大学進学実績では公立進学校を凌駕していることがよくあるのだ。
経済格差=教育格差は確実に存在する
幼児教育から格差は存在する
家庭の社会経済的背景SES(Socio-Economic Status)という、
家庭所得・父親の学歴・母親の学歴の3つの要素を合成した指標がある。
この数値が高いほど子供の教育には有利になるというデータが如実に出ている。
「親は親、子は子、頑張れば誰でも成功する!」と考えたいところだが、なかなかそうはいかないのが現実。
もう一つ文部科学省の学習費調査というものがある。
私立に通わせると学校外活動費への支出も多い。
幼稚園・小学校の時代から習い事などにも熱心であり、そのまま学力にも直結するというデータがある。
早期の教育に費用を掛けられるか否かが非常に大きいのである。
このことが格差を生み、後に高校受験へと進んでいく。
結果、進学校には経済的に恵まれた家庭の子供が多くなる。幼児教育から格差は確実に始まっているのである。
※出典:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
富の再生産、貧の再生産の仕組み
富裕層は子どもに教育投資をし、様々な教育機会を得られ、学歴を高くする可能性が高く、結果高収入になる。
さらにそれが再生産される。
逆にいうと貧困層は教育投資ができないため、教育機会は限られる。
本人が相当努力しなければ学歴を得られず低収入になる可能性が高い。
貧困の再生産となる。
これが格差の現実なのである。
本来であれば貧富に関係なく、優秀な子・意欲のある子が高い教育を受けることが求められるべき。
だが、本人にはどうしようもない経済理由で多くの場合、機会が閉ざされてしまう。
こんな格差固定社会は、クリエイティブな発想を生みにくくし成長を阻害すると思うが。。
かといって貧困世帯に公費を直接支出したとしても教育には支出しにくいのも現実。
教育の供給サイド(学校・研究・教員)への財政支出は必要だと思う。
私費負担を抑え、教育の質を高め、貧困世帯の子供であっても高い教育へのアクセシビリティを高める。
理想論であるが、そうあってほしいものだ。
やはり子供一人当たり数千万円単位で費用がかかり、子どもにとっても親ガチャのような状況。
出生率が下がるのも無理はない。
教育だけではないが、未来の子供・若者の教育というのは重要な資産であり、
子どもを産み・育てることに不安がない社会形成が求められる。
子供への教育投資は早い方が「費用対効果は高い」
逆に言えば、早くからの教育投資は効果が高い
学歴で全て決まるわけではないし、教育が全て収入に直結する訳でもない。
ただ成長過程における見識を深めたり、学校社会で出会う仲間であったり、価値観であったりと明らかに差は出る。
将来の仕事や社会階層に大きな影響を与え、様々なチャンスを得られる機会は圧倒的に多いとは言える。
逆に言えば、子どもへの教育投資は将来に渡って影響するものなので効果は高い。
大人になってからは得られないものを早く得ることができ、格段にチャンスを生む可能性が高い。
子供への教育には多額の費用が掛かり、非常に大きな投資となる。
知識を携えた上で早めから費用計画を立て、最善の教育投資を行っていきたいものである。