【2021年版】介護保険の仕組みや活用できるサービスを知る(40歳以上は特に知っておくべき)
40歳になると、「介護保険料」を義務として支払うことになる。いつからか始まった制度だが、その仕組みや給付金額など、詳細を調べる機会はなかなかない。
これを機会に
をまとめていきたい。
知れば知るほど、自分事化して考えることができるようになると思う。
なんで介護保険ってあるの?『日本は高齢化がヤバいから!』
- 65歳以上人口:2025年に3,677万人 ⇒ 2042年に3,935万人(ピーク)
※出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(全国) (平成29(2017)年4月推計)」より厚生労働省が作成
この大きな課題に対応する仕組みとして、2000年に介護保険が創設され、新たに介護保険料が徴収されることとなったんだ。
これだけ高齢者が多いということは、介護ニーズは膨大!国の財源や行政サービスとしての対応には限界がある。
だから『社会保険制度』としてシステム化したんだ。
介護保険はどんな制度なの?『認定を受けるとサービスが受けられる』
一言でいうと、
自己負担額は簡単にいうと…
- 「年金収入とその他の合計所得額」280万円未満 ⇒ 1割負担
- 「年金収入とその他の合計所得額」280万円~340万円未満 ⇒ 2割負担
- 「年金収入とその他の合計所得額」340万円未満 ⇒ 3割負担
介護保険は誰が制度の対象なの?『基本は65歳以上の人』※例外あり
誰が制度の恩恵に授かれるのだろうか?(被保険者は誰か?)
大きくは2つの区分に分けることができる。
- 65歳以上の人(第1号被保険者)
- 40歳~64歳までの人(第2号被保険者)※老化に伴う16の疾病が原因で介護認定を受けた場合
保険料の支払い義務は①、②ともにあるが、基本的にサービス対象者は原則65歳以上の人になる。
- 末期がん
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 関節リウマチ
- 脳血管疾患
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 初老期における認知症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
- 閉塞性動脈硬化症
- 早老症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 多系統萎縮症
基本的には65歳以上の人が対象だけど、40~64歳でも適用になることがあるから覚えておきたい。
どんなサービスが受けられるの?
実際どんなサービスが受けられるんだろうか?大きくは以下4つに大別される。
- 自宅利用型サービス
- 通所型サービス
- ショートステイ型サービス
- 居住型サービス
①自宅利用型サービス
②通所型サービス
☑デイサービス:食事や入浴などの支援や、機能訓練・口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供
③ショートステイ型サービス
④居住型サービス
出典:厚生労働省『介護保険制度について』
介護認定はどうやって受けるの?『自治体に申請することから始まる!』
年齢に達すれば必ずサービスが受けられる訳ではなく、『介護認定』が必要となる。
申請~認定までの流れ
- 市区町村の窓口で申請をする(申請時、第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、第2号被保険者は、「医療保険の被保険者証」が必要)
- 認定調査書を使った「訪問調査」を実施し、1次判定が行われる。その結果をもとに専門家で構成される「介護認定審査会」が2次審査を
行い、判定結果を市町村に通知 - 認定を受けると指定のケアマネージャーに介護サービス計画書(ケアプラン)を作成してもらいサービスを受けることができる
どれくらいの金額の支援を受けられるの?『認定の区分により、金額が異なる』
「介護認定」には認定区分があり、介護の必要性に応じてレベルが設定される。
区分に応じて、1ヶ月の支給限度額が異なり、それに応じて自己負担額も変わる。
認定区分 | 認定の目安 | 支給限度額(1ヶ月) | 自己負担額(1割) | |
軽い ↓ 重い | 自立 | 日常生活は自分で可能。介護保険での介護サービスの必要なし。 | ー | ー |
要支援1 | 日常生活で必要な行動の一部に、介助が必要な状態。 ※掃除や着替え、歩行など | 50,030円 | 5,003円 | |
要支援2 | 日常生活で必要な行動に、部分的な介助が必要な状態。 | 104,730円 | 10,473円 | |
要介護1 | 日常生活で必要な行動に、全面的な介助が必要な状態。 | 166,920円 | 16,692円 | |
要介護2 | 身の回りの世話の全般、立ち上がり、歩行、移動動作などに介助が必要な状態 ※認知症の場合、物事の理解が困難 | 196,160円 | 19,616円 | |
要介護3 | 日常生活の動作で、ほぼ全面的に介護が必要な状態。 身の回りの世話が必要で、歩行、移動などがほとんど自分で不可能。 ※排泄や食事がほぼ自分でできない。認知症による判断能力の低下が見られる。 | 269,310円 | 26,931円 | |
要介護4 | 介護なしで日常生活を送ることが困難な状態。 身の回りの世話が必要で、歩行、排泄などが自分でできない。 ※判断能力の低下がみられ、認知症の周辺症状も増えている | 308,060円 | 30,806円 | |
要介護5 | ほぼ寝たきりの状態で、介護なしでは日常生活不可の状態。 ※判断能力の低下がみられ、認知症の周辺症状が多くみられる | 360,650円 | 36,065円 |
上記の支給限度額を超えた分の費用や、介護保険サービス以外の利用料については、全額自己負担となるので注意したい。
介護は『対岸の火事』ではない
自分には全然先の話と思っていても、それはすぐにやってくる。介護はフィジカル・メンタル両面で、非常に負担がかかるもの。
日本の長寿はありがたいことだが、一方で「老老介護」の問題や財源ひっ迫などの問題も生じる。今後財政面での厳しさが容易に想像できる。
まずは、急にそうした事態に直面した時に焦らぬよう、介護保険制度をしっかり知っておきたい。予備知識を入れておくだけでアクションがかなり変わってくるはずだ。
そして困ったときは知識は最低限持った上ですぐに窓口に相談しよう。これはもはや社会課題なので、誰もが直面し得るものである。抱え込むのは禁物である。