【2021年版】社会保障と社会保険は違う!? 社会保険の基礎知識を分かりやすく

社会保障制度の全容をすると、社会保険が理解できる

知ってるようで実は知らない社会保険。

日本の社会保障の礎であり、ほとんどの人に関係するもの。

 

絶対に知っておいた方が良い制度の代表。

健康保険や厚生年金、雇用保険など、多くの制度を混同しがちになる。

 

日本の礎ともいえる制度なので、しっかり知っておきたい。

 

社会保険って何なの?

ズバリ社会保険とは、

社会保険=「様々なリスクから守ってくれる社会保障制度の一つ

 

まず、社会保障を知ったほうが良い。

 

いきなり固い話になるが、憲法第25条を知ると分かりやすい。

憲法第25条:第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
日本国民は全員「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利がある。
だけど、病気やケガ、失業・生涯などのリスクその最低限度が保たれないケースがある。
これって個人で備えるのは限界があるよね?
ってことで、
社会保障 = 個人で備えるのは難しいリスクに対し、国を中心にみんなで備える仕組み
これらは大事なところなので、しっかりと抑える。

 

社会保障制度の中身はどうなっているのか?

社会保障制度は大きく4つに分類される。
  1. 社会保険
  2. 公的扶助
  3. 公衆衛生
  4. 社会福祉

 

社会保険は社会保障の一つという話をしたが、分かりやすく言うと、

 

国中心にみんなでお金を集めておき、リスクが現実に起きてしまった人に貯めたお金をあげる制度
相互扶助の精神に則り、「困ったらみんなで助け合おう!」というもの。
だから「強制加入」なのである。

 

 

社会保険の中身は?

肝心の社会保険の中身についてみていきたい。広義で解釈していくと5つに分けることができる。

 

【社会保険の代表選手】

  1.  健康保険
  2.  厚生年金保険
  3.  介護保険
  4.  雇用保険
  5.  労災保険

 

これらを二つに大別することができる。

 

  • ①~③を狭義の社会保険:すべての国民を対象(介護保険は40歳以上)

 

  • ④・⑤は被雇用者(労働者)を対象

 

それでは、「社会保険の中身」についてみていきたい。

 

①健康保険とは

健康保険とは、会社に勤める被保険者(会社員)とその被扶養者(家族)に対して、

業務外の事由による、疾病やケガ、死亡、および出産について保険給付を行う制度。

 

健康保険:業務外の事由による、疾病やケガ、死亡、および出産について保険給付を行う制度

 

健康保険証を持ってれば、どの病院に行っても治療費は基本3割負担で済む。

日本は「国民皆保険」なので、原則すべての人が保険料を支払っている。

 

だからこそこれが成り立つ。素晴らしい制度である。

 

尚、健康保険に加入しない場合は、国民健康保険への加入が義務付けられている(後期高齢者医療制度加入者除外)。

 

【健康保険制度概要】

※出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「医療保険制度の体系」

 

保険料は標準報酬月額×保険料で算出され、労使折半が基本である。

 

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②厚生年金保険

国民年金に上乗せされて給付される年金。

主に民間企業の会社員が加入する制度。

 

働けなくなったときに困らぬよう、老齢年金、障害年金、遺族年金が支払われる。

 

厚生年金保険:国民年金に上乗せされて給付される年金

 

公的年金は2階建て

※出典:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」

 

国民年金は20歳以上になると全員加入(義務)しているが、

会社員・公務員などが加入している厚生年金は2階建てになっている。

 

 

国民年金の保険料は定額だが、厚生年金の保険料は人により異なる。

 

毎年4~6月の支払給与をベースに計算した金額(標準報酬月額)と賞与に共通の保険料率をかけて算出。

こちらも労使折半が基本(半分会社が出してくれる)。

 

③介護保険

介護が必要と認定された場合(要介護・要支援認定)、必要な介護サービスが受けられる制度。

高齢化を背景に2000年に創設されたもの。

 

会社員の場合、40歳以上になると被保険者となって、保険料を負担することになる。

 

介護保険:認定されると必要な介護サービスが受けられる制度
こちらも厚生年金同様に標準報酬月額を元に保険料が算出され、
会社員の場合、健康保険と一緒に天引きで徴収される。
自営業の場合は、国民健康保険料に上乗せして納付する必要がある。

40歳になる年に、介護保険料の上乗せがない金額で先に国民健康保険料の納付金額の通知が届き、

介護保険料については別途納付書が届く。

 

④雇用保険

失業時に手当が受けられたり、在職中でも育児休業給付や介護休業給付、教育訓練給付などを受けることができる。

仕事がなくなった時に給付を受けられる制度と考えると理解しやすい。

 

雇用保険:仕事がなくなったときに給付を受けられる制度

加入条件は、

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 最低31日以上雇用される見込みがある
  3. 学生ではない

 

保険料は労使双方負担で、事業の種類により負担割合が異なるのが特徴。

 

※出典:厚生労働省「雇用保険料率について」

 

雇用保険の給付を受けるには、離職日以前の2年間に、11日以上出勤した月が12カ月以上加入実績が必要。

いわゆる失業保険だけでなく、育児休業や介護休業時にも活用する機会がある。

 

 

⑤労災保険

業務上や通勤中に発生した、働者の病気・ケガ・障害・死亡等の通勤災害等に対し給付をおこなう制度。

 

労災保険:業務上・通勤中の事由による、疾病やケガ、死亡、および出産について保険給付を行う制度

 

健康保険が「業務外」だったのに対し、労災保険は「業務上」

正社員やパートタイマー等の雇用形態に関わらず、労働者全員が対象となる。

 

休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付などがある。

保険料は全額事業主が負担するのが特徴。

 

日本の社会保障制度は充実している

生きていれば、あらゆるリスクがつきもの。

病気・ケガ・障害・加齢・障害…リスクをあげればキリがない。

 

冒頭の、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する

この理念に則って日本の社会保障は成立している。

 

社会保険は、この日本の社会保障制度の根幹を成すものであり、共助の考え方。

日本の社会保障は非常に優れていると言える。

 

だが、少子高齢化で年々負担が重くなっているのは事実。

将来世代までこの制度が維持できるかは疑問符が付く。

 

優れた制度であるものの、やはりある程度は自己責任で様々なリスクに対応する必要がある。

まずは社会保険の仕組みを理解した上で、個人として何を準備すべきかを考えると良いかもしれない。

 

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