個人投資家は「弱者」という前提を知り、未来は「不確実」ということを認識する
まずイメージしてほしい。
大自然の野に放たれた一匹の小犬、彼はどんな存在だろうか?
あまりにも可愛すぎる「弱者」なのである。
まず自分が莫大な資産を持っていたり、ファンドマネージャーを経験していたりしていれば別だが、
投資の世界において、多くの個人投資家は「超圧倒的弱者」であることを知っておきたい。
そして、その小犬にはどんな未来が待ち受けているだろうか?
いきなり獰猛な動物に襲い掛かられるかもしれない、大きな嵐が来て命を脅かされるかもしれない。
それは誰にも分からないが、「未来は不確実である」ことを認識したい。
その前提で小犬(個人投資家)はどうするべきなのか?ということを整理していきたいと思う。
個人投資家に大事なマインドセット
自分も素人なので、金融や株式に関する知識は多くない前提。
財務分析やチャート分析などこれまで数々の本を(一応)読んできたが、それでも「圧倒的弱者」とがっちり認識している。
自分の中で大事にしていることは、
- リスクマネジメント(許容できるリスクを考え投資行動をすること)
- 命を落とさぬよう、死ぬまでの資金をいかに確保するか
この2点である。
個人投資家が戦略を立て、個人の思惑通りに少ない資金で、短期で成果を生み出すというのは至難の業である。
大自然の中で小犬が解き放たれて、毎日おいしい食事にありつけ続けるのと同じくらいの確率である。
株式市場においては、「資本家が間違いなく勝つ」というのを決して忘れてはいけない。
もちろんラッキーパンチや、戦略がうまくハマり一時的なリターンを得られることもあるだろう。
しかしそんなに甘くないのが現実。
何かクライシスや影響事象が発生すれば、一瞬にしてその渦に飲み込まれる。
個人投資家が投資をする際には、素人なりの心構えをもって臨んだ方がよいと思う。
リスクマネジメントと死ぬまでの資金を確保すること
そもそもお金は何のために増やしたいのか?
そりゃお金はたくさんあるに越したことはないが、死ぬまでの資金を確保すれば十分である。
それをできる限り早期に、リスク少なく達成できれば尚良いと思う。
これは価値観の問題もあると思うが、この考え方は個人投資家にとっては重要なのである。
まず、自分の身の安全を守る『安全資金の中での運用』
安全資金(セーフティゾーン)を認識する
大前提として投資の際には、「安全資金の中での運用」とすること。
自分の安全資金(セーフティゾーン)を認識した上で、そこから投資という世界にチャレンジするということ。
守ってくれる人もいない中で、狩りの経験もない小犬が裸一貫で命をとして狩りに出かけてはいけない。
自分の安全資金で用心棒を雇う
その安全資金の中で、自分を守ってくれる用心棒を雇うという考え方。
- おいしい獲物を分けてくれるが、いつ自分が食べられるか分からない用心棒(個別銘柄の株式投資、不動産投資)
- そこそこのごはんを分け与えてくれ、大体の危機を救ってくれる用心棒(投資信託、iDeCo、純金積立)
- そんなにごはんはおいしくないが、絶大の信頼を置ける用心棒(預金・債券)
通常であれば、用心棒は一人でいいが、一人では危険なので複数雇う(分散投資)が鉄則である。
分散投資はそれぞれの特性を理解した上で、最適な配分をしなくてはならない。
用心棒一人ひとりにしっかりと面接をする必要があるが、信頼をおける人に多く働いてもらいたいはずだ。
ポートフォリオの形成の仕方は様々であり、詳細は別の機会に譲るが、この分散投資の考え方は必須である。
個別銘柄の株式投資は、余剰の資金内・超長期で!
個別銘柄の株式投資は「自分で選んでいる」ので、まさに投資をしている感覚がある。
しかし、やみくもに始めるのではなく安全資金の中でも一部の余剰資金で行いたい。
ここでも大事なことがある。
それは長期で持つ!前提で買うということ。
銘柄選びももちろん大事であるが、短期でのキャピタルゲインを狙うというのは競馬と同じような投機性を孕んでいる。
どれくらい長期かというと、最低5~10年くらいのイメージ。
これがなかなかできず、相場が弱含みな局面・強い局面で売り買いを繰り返すという行動をとってしまうことが多い。
弱者は頻繁に狩りにでたり、戻ったりしてはいけない。
ここも大原則くらいの大事さで言っておきたいが、個別株式は「長期」で考えるのが大事。
その上で個別銘柄の株式投資に臨むのはOK「学ぶくらいの気持ちで」
自分なりの分析や学習をしてから望むのがセオリーだが、銘柄の選び方は「好きな会社」「応援したい会社」を選び、
自らの余剰資金の中で選んだ銘柄をNISAの範囲内で購入するだけ。
これくらいのイメージ良いだろう。
当然株価は適宜チェックするが、日々チャートを貪欲に追ったりということはしない方がいい(どうせ一喜一憂する)。
株主になると株主通信・株主総会招集通知なんかが送られてくるので、財務状況や中期戦略等もチェックしてみるのが良いと思う。
どれくらいの資産持ってて、何に投資し、どういう戦略に重きを置いているのかを知る。
知るための手段として財務諸表を多少は読めなきゃいけないし、業界のことも知らないと戦略が良いのか、悪いのかも感覚的にわからない。
そこには学びがある。
これを繰り返すうちに、会社の戦略を理解できるようになってくる。
実感を伴って自分なりの投資理由を明確にしていくことができるだろう。
個人的には個別銘柄の株式投資はギャンブルっぽいものと割り切っているし、資金の脆弱な個人投資家はそれくらいの割切りができる範囲で臨むべき。
ただし自分なりの「優良企業」を見極めるロジックを養っていくのはすごく重要なこと。
経済を学ぶ上でも「株式を買う」ということは、非常に合理的である。
やはり実践が一番だし、何より自分が選んだ銘柄なので、主体性が違う。
「何をやっているかも分からない企業の株をキャピタルゲインだけを追い求めて買う」的なのは、血の通った感じがしないし、良いことはない。
個人投資家は「分からないなりの戦略」を持つ!
初心者は上記を理解し実践することが=戦略だと思う。
iDeCoやインデックス型投資信託などの比較的安全な運用をしながらも、やりたいならさらに余裕資金で個別銘柄の株式投資を行う。
その場合、初めは「好きな会社」「応援したい会社」の株を買うでいい。
本当にそれくらいでいいと思っている。
ただその会社がどんなビジネスをしていて、どういう財務状況で何に魅力を感じているのかを言語化できることは必要。
余裕資金で「株式投資をしながら楽しみ、実践的に学ぶ」イメージで取り組む。
ただし、「上がるときは上がるし、下がるときは下がる」。そんな割り切りも必要。
様々なクライシスや経済情勢の変化に一喜一憂し、目まぐるしく動く株式市場であるが、
個人投資家は弱者なりの戦略をもって臨みたいものである。